あず
デザイン史から探るAI時代の「本質的な美しさ」とモリスの教え
2025年12月08日
要約
大学でデザイン史を学んだので、これで学ぶのは2回目。今回はどのようにデザインの引き出しを増やせるか楽しみながら、学び進めることができました!
デザイン史の前半で特に印象に残った、アーツ・アンド・クラフツ運動についてより深く考えてみました。
19世紀の産業革命は、安価な日用品を大量生産することができたが、同時に機械化は、長年培われてきた職人の手仕事の美しさがなくなり、粗悪な製品に溢れてしまいました。
これに強く異を唱えたのが、「モダンデザインの父」と呼ばれるウィリアム・モリスです。
「ものに心からの愛着が込められていた “中世の作る喜び” を取り戻したい」という理念のもと、美しさを取り戻すために、アーツ・アンド・クラフツ運動を起こしました。
モリスの作品の特徴は、樹木、草花、果実、鳥といった自然界のモチーフをふんだんに取り入れている点です。
自然主義:産業革命によって失われた自然の有機的な美しさへの憧れが表現されています。単なる装飾ではなく、自然への深い愛情と敬意が反映されています。
連続模様(リピートパターン):モチーフは平面上で抽象的に、かつ生命力を感じさせるように描かれ、壁紙やテキスタイルとして使用されることを前提とした緻密な反復模様が特徴です。
産業革命、そしてモリスの思想は、現代のAIデザインの状況に似ていると感じました。
現在、生成AIの進化により、デザインのアイデアや画像が瞬時に、そして無限に生成されるようになりました。これは、産業革命が製品の生産を爆発的に増やしたように、AIが「デザイン」の生産量を爆発的に増やしています。
モリスが取り戻そうとしたのは、心からの愛着や作る喜びでした。AIが生成するデザインは、技術的には完璧に見えても、心からの愛着が欠けているような気がします。
現在はAIによりデザインの便利さとスピードを手に入れました。しかし、AI時代だからこそ、モリスの言葉のように、単なる効率ではなく、使い手に長く愛される「本質的な美しさ」とは何かを考える必要があると感じました。