ポートフォリオとして、Windows Updateの適用判断支援サービス「様子見KB」を開発しました。
目的はシンプルで、情シス担当者が毎月ぶつかるこの問いに早く答えることです。
「このKB、今当てて大丈夫?」
私が担当したのは、企画・設計・実装・運用改善まで一通りです。
プロダクト設計(課題整理、判断フロー設計)
フロントエンド実装(検索・一覧・詳細)
バックエンド実装(データ集約、再評価)
AI判定実装(要約、verdict、理由生成)
運用改善(cronと単発再評価の整合、品質修正)
Windows Update運用の現場には、次の痛みがありました。
情報が散らばっている
公式Known Issues、コミュニティ報告、検索結果を行き来する必要がある。
判断が難しい
セキュリティ的には早く当てたいが、不具合リスクもある。
説明コストが高い
「なぜ待つのか」「なぜ進めるのか」を社内説明するのに時間がかかる。
様子見KBは、次の3点を軸に設計しました。
情報をKB単位で一画面に集約する
判定ラベルと理由を同時に出す
例外文脈(OOB・統合KB)まで判断ロジックに入れる
つまり、「情報を見せるサイト」ではなく、
意思決定を前に進める道具を目指しました。
KB番号を入力すると、該当情報へ最短到達できます。
最初の“迷い”をなくす入口機能です。

1ページで以下を横断表示します。
公式Known Issues
コミュニティ不具合報告
AI要約
判定(ok / caution / wait / pending)と理由

情報を並べるだけでなく、最終判断を支援するためにラベル化。
理由文もセットで出すので、社内共有に使いやすい形にしています。

fixes_kb / merged_in_kb などの関係を考慮し、
「問題を起こしたKB」と「それを修正するKB」の混同を減らします。
月次運用の初動確認を早めるため、直近配信KBを判定付きで一覧化しました。
KB番号が分からないケース向けに、症状カテゴリやキーワードから逆引きできます。

Windows 11のバージョン軸でKBを追えるので、影響範囲の把握がしやすくなります。

気になるKBを監視し、判定の変化を検知。
「あとで気づく」を防ぎます。

通知機能に状態変化をお知らせします。

初回体験と継続利用の両立を意識し、閲覧範囲を段階設計しています。

運用では「今すぐ再評価したい」が必ず起こるため、
cronだけでなく単発実行経路も用意しました。
AIは自然な文章を作るのは得意ですが、文脈の取り違えが起きます。
特に「この更新で問題が起きた」のか「この更新で別の問題を直した」のかは、読み違えると結論が逆になります。
そこで、判定ルールを明文化して、AIが迷いにくい入力に整えました。
以前は、
定期的に自動で回る再判定
管理者が1件だけ手動で再判定
で、内部の判定手順が違っていました。
その結果、「自動だとA判定、手動だとB判定」が起きる状態でした。
今は判定処理を共通化して、どちらで実行しても同じ結果になるようにしています。
「注目度(upvote最大値)」のような数値をAIに推測させると、見た目は自然でも事実とズレます。
そのため、数値は必ずデータベースの実測値を使う設計に変更しました。
文章はAI、数値は実データ、という役割分担です。
詳細ページでは複数の情報をまとめて表示しています。
以前は補足情報の取得に失敗すると、ページ全体が表示できなくなるリスクがありました。
今は「補足がなくても本体は表示する」作りにして、使える状態を優先しています。
毎回すべてを再判定すると遅くなります。
そこで「未処理」「新しい不具合報告が増えた」「公式情報が更新された」ものから優先して処理するようにしました。
限られた時間で、必要な更新を先に反映できます。
判定を毎回通知すると、通知疲れで読まれなくなります。
判定が実際に変わったときだけ通知する仕組みにして、重要な変化を見逃しにくくしました。
外部AIを連続で呼ぶと、混雑や制限で失敗することがあります。
呼び出し間隔やエラー時の扱いを調整して、まとめ処理でも止まりにくい運用にしています。
このプロジェクトは「作って終わり」ではなく、運用しながら改善するタイプです。
実データで見つかった例外やレビュー指摘を継続的に反映し、判定の信頼性と安定性を上げ続けています。
Frontend: Next.js (App Router), TypeScript, Tailwind CSS
Backend: Supabase (PostgreSQL, Auth)
AI: Anthropic API
Ops: crawler + scheduled jobs + manual re-run endpoint
様子見KBは、
情報収集 → 判断 → 社内説明を短縮するための実運用志向プロダクトです。
この開発で一番大きかった学びは、
「AIを使うこと」より「AIを運用で壊れない形にすること」の難しさでした。
今後は、通知体験と履歴比較をさらに強化し、Patch Tuesday運用で本当に頼れる道具に育てていきます。
シェア!