YURI /ゆり
ブランドガイドラインを納品して学んだのは、「人に近づく」という仕事だった
2026年04月27日
見出しはありません
要約を生成中...
あるクライアントさんからロゴのお仕事をいただいていて、その流れで、ブランド全体を束ねるブランドガイドラインの制作も引き受けることになった。
納品が終わったので、今月の振り返りとして、現時点で私が理解していることをここに書き残しておこうと思う。
ブランドデザインもブランドガイドラインも、私にとってはまだ学んでいる最中の領域だ。NOTで上流設計を学んでいくなかで、「制作物を作る」という地点からもう一段深いところに、この仕事があることを知った。クライアントの背景を読み取ること、そのブランドの「人格」を捉えること。
ここに書くのは、今回の制作のなかで自分が感じたことです。
それをそのまま残しておきたいと思います。
ブランドデザインを深く学ぶきっかけは、NOTデザインスクールの「誰でもわかるはじめてのブランドデザイン」というウェビナーだった。基礎を知り、それがクライアントさんの全ての案件で上流設計の軸になっていった。

随時、様々なウェビナーを開催しており、NOT受講生でなくても、参加できます!
そんなNOTでは、デザインを作る力だけでなく、その意図や考えを言語化して伝える力も育てるために、生徒のプレゼン大会が開かれている。実際の現場では「なぜこのデザインにしたのか」「どんな課題に対しての提案なのか」を説明する場面が多く、プレゼンは避けて通れないスキル。完成品の質と、それを伝える力。その両方を一緒に育ててくれる場所だ。
そのパーソナルカリキュラム生徒のための第一回がちょうど自分のブランドガイドライン制作の真っ只中に開催されたので、私も参戦することにしました。

メンターのもちさんからも、「デザイン以外のこういうスキルこそ、経営者やクライアントと話すときに役に立つ。デザインスキルと同じくらい大事」と背中を押してもらい、おすすめしてくれた
『1分で話せ』も熟読して臨んだ。
そして、プレゼンを視聴してくれていたグラフィックメンターのSIOさんからは、
「もっと良くするためのアドバイスができるよ」と声をかけてもらった。
そのあと個別できめ細かな添削をしていただき、世界中の良質なブランドガイドラインが集まっているウェブサイトも教えてもらった。
そこで、自分のインプット量の少なさを痛感した。
それ以降は毎日そのサイトを見続け、インプットを加速させながらブラッシュアップしていった。
ウェビナーで基礎を教えてくれたブランドデザイナーの後藤さん、
本を勧めて背中を押してくれた私の担当メンターのもちさん、
発表を聞いて声をかけてくれたグラフィックメンターのSIOさん。
私はまだ学び始めたばかりですが、3人のプロデザイナーがバックで支えてくれている。
だからこそ、クライアントさんに自信を持って納品できた。
この環境があるのは、自分にとって本当にありがたい。
ここからは、できあがったブランドガイドラインを章立てに沿って紹介していこうと思う。
「ブランドガイドラインって何が入っているの?」という人の参考にもなれば嬉しい。

ガイドライン全体は7章構成。
最初の章「COVER」では、ガイドライン全体のサマリーと、このガイドラインが何のためのものかを伝えたあと、ブランドマークのコンセプトと、ブランドの人格(Brand Personality)を定義する。
ロゴやカラーといった目に見える要素の前に、「このブランドは誰なのか」を言葉で固めることから始まる。

「LOGO」では、ブランドマークとワードマークそれぞれのバリエーション、組み合わせ(ロックアップ)のルール、配色の使い方、そして「やってはいけない使い方(DON'TS)」までを定める。


「TYPOGRAPHY」では、英文と和文それぞれの使用フォントと使い分け、英和混在時のルール、フォントの入手可否情報まで。


「COLORS」では、メインカラーとサブカラー、組み合わせのルールとNG例を定めた。


「GRAPHIC ELEMENTS」では、ブランドを支えるグラフィックモチーフ(Diamond & Circle)とブランドパターン、それぞれの適用例と使用ルール、NG例まで。


「PHOTOGRAPHY」では、写真選定のガイドを置いた。Wellnessシーンと人物(Portrait)、それぞれの「使うべきトーン」と「避けたいトーン」。


最後の「BRAND APPLICATIONS」では、実際にどう使われるかの見本を載せている。プレゼンデック、名刺、SNS用のテンプレートやバナー。


ここまでが、現時点で私が「ブランドガイドラインに入っているべき」と理解している要素。
企業や案件によってボリュームや、内容は変わります。
ブランドガイドラインは「自分以外の制作者」のために作るんだ、ということ。
当たり前のように聞こえますが、制作中、「デザインの目」で制作物に入り込むと、ついつい見失ってしまう視点でした。
ひとつのデザインを自分で制作しているとき、配色も余白もフォントも、選べる。
けれどそれを別の誰かが再現できる状態にするには、
自分の頭のなかにある暗黙のルールを一度ぜんぶ表に取り出さないといけない。
何を基準にこの色を選んだのか、
なぜこの余白なのか、
どこまでが許容でどこからが違和感になるのか。
作っているときには無意識だった部分を、もう一度立ち止まって言葉にしていく。
地味だけど、ここが今回いちばん時間と気力を使った作業だった。
もうひとつ、ガイドラインは納品したあとが本当の出発地点だということも学んだ。
今回これでよしと思って渡したルールも、半年後・一年後の運用のなかで
現場とずれてしまう可能性は普通にある。そのときは必要に応じて書き直していけばいい。
ブランドが本当に生きる場所は、顧客の頭のなか。
クライアントが活動を続けるかぎり、その印象も更新されつづける。
だから私も、そこに長く伴走していきたい。
AIによってデザイン制作の自動化が進んでいる時代。
これは私はあまりネガティブに捉えていない。
むしろ、これまで時間をかけていた工程が圧縮されることで、
もっと向き合うべき部分に時間を使えるようになる、いいきっかけだと感じている。
その「向き合うべき部分」って何だろうと考えたときに、
今回ブランドデザインをやってみて改めて感じたことが浮かんだ。
この仕事は、とことん「人」に近づく作業だ、ということだった。
少し話が逸れるけれど、デザインをフリーランスでやっていると、ひとりで作業を抱えているうちに「これでいいのかな」と揺らぐ瞬間が必ずある。
そこを支えてくれているのが、NOTのメンターさんたちの存在だ。
厳しいフィードバックでハッとさせられることもあるけれど、
いちばん近くで一緒に歩いてくれて、私の成長を願ってくれている人がいる。
だから、クライアントさんに自信を持って納品できる。
ふと気づいたのは、
私が個人事業のクライアントさんとお仕事させてもらうとき、
自分もそれと似たことをしているのかもしれない、ということだった。
一人で事業を進めているクライアントさんも、
「これでいいのか」「どこに向かえばいいのか」と揺らぐ瞬間がきっとある。
そこにブランドデザインというツールを通して、
「このブランドはこの方向に進むのがいいと思います」ということだと一緒に、
なぜそう言えるのかの根拠とともに提案する。
その判断には、自分もちゃんと責任を持つ。
デザインを作っているようでいて、
実は同じ情熱で同じ方向を見てくれている人がそばにいる、
という事実そのものを届けているのかもしれない。
そんなことを考えたら、
ブランドデザインが「人」にとことん近づく作業だということの意味が、
自分のなかでようやく腹に落ちた。
NOTのメンターでありブランドデザイナーでもある後藤さんは、
これを「鳥の目・魚の目・虫の目」という3つの視点で説明している。
「鳥の目」で市場を冷静に見渡し、
「魚の目」で潮流を読み、
「虫の目」で経営者の情熱を憑依させる。
大好きな言葉です。
私が今回いちばん楽しいと感じたのは、この「虫の目」と「鳥の目」を行き来する感覚だった。
そして、「魚の目」で内側や、インサイドの現状を感じ取る。
クライアントの言葉ひとつひとつを拾って、その背景に何があるのかを掘っていく。
かと思えば、
一歩引いて、出来上がったものを受け取るデザイナーやお客さんの目線で見直す。
ズームインとズームアウトを繰り返す。
包括的に見る(鳥の目)と、ひとつを深く掘る(虫の目)。
一見、真逆の動きに見える。
けれど、この往復こそがブランドデザインの楽しいところだと感じている。
言葉の解像度を上げる。
感情の整合性を取る。
そこには磨かれた言語化が必要で、結局のところ、
相手のなかにあるものをちゃんと聞き取る作業に尽きる。
そして、出来上がったブランドガイドラインはクライアントさんのもの。
私は完全な裏方として、相手が描いていたものをお客さんに届ける手伝いをする。
きらびやかな表舞台に立つ仕事ではないけれど、
この寄り添い方が今回ものすごく自分の腑に落ちた。
要約
コメント
まだコメントはありません。