YURI /ゆり
言葉の設計書、ビジュアルの設計書、そして自分の設計書 ── ブランディング道場の振り返り
2026年10月12日
見出しはありません
要約を生成中...

6月から始まった4ヶ月間のNOT DESIGN SCHOOLの短期集中講座 ブランディング道場が終わりました。
今月は、その4ヶ月の学びと、道場の最終課題として自分のブランドを1枚にまとめた「ブランドボード」を振り返りたいと思います。
道場は全部で8回ありました。ここからは、それぞれの回で学んだことを、復習も兼ねて自分なりにまとめていきます。
ブランディングの全体像を俯瞰することができました。
ブランドとは、相手の頭の中にある情報と印象であり、それはつまり、顧客とのあらゆる接点で生まれる「約束」と「信頼の蓄積」であると言語化できるようになりました。
その中で、デザインが経営や事業成長にどのように寄与するのかを学びました。
すなわちそれは、その信頼を積み重ねて、ブランドという「資産」をつくっていくことです。
会社の決算書には、一定の期間にどれだけ儲かったかを表すProfit and Loss Statement/損益計算書と、ある時点でどんな財産を持っているかを表すBalance Sheet/貸借対照表があります。短期的な利益を上げる広告のデザインは損益計算書に、時間をかけて資産をつくっていくブランドデザインは貸借対照表に寄与します。この2つはどちらも必要で、そのデザインが何のためのものかを捉えてブレないことが大事だということも学びました。
私たちが制作するデザインとは、商業上の目的で制作される美術「商業美術」であることから、市場構造の土俵であるCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点のマーケティング環境分析を学びました。
自分の3Cをつくってみて、3Cは意思決定の道具、つまり自分の物差しを作ることであり、何をやらず、何に力を注ぐといいのかという判断ができるようになるものだと思いました。
自分自身を「ブランド」だと仮定して、自分というブランドの「約束、人格、熱量」を言語化し、それに基づいてリサーチし、自分を客観的に捉える練習でした。
多角的に捉えるための3つの視点も、すでに学んでいました。
・鳥の目:社会の中で、自分のブランドにどんな価値があるのかを、一番高いところから見渡す視点
・魚の目:時代の流れの中で、このブランドがどこに立っているのかを読む視点
・虫の目:一人の人の経験や、現場の手触りから、自分のブランドが持つ力を見る視点
時間がなくて、このときは終わらなかったのですが、9月のブランドボードの制作で取り組みました。
この講評会で感じたのは、自分を俯瞰することの難しさです。
自分の想像で顧客を描いてしまっていて、もっと冷静に見る目線が必要だということにも気づきました。
競合を考えていくうえでも、差別化は何だろうと考えると、目線が競合のほうに向いていました。でも、差別化に必要なのは、自分の中身を考えていくことなんだと思いました。
じゃあ、自分の中から探すってどういうことなんだろう。振り返ってみると、それは自分が体験したことや、そこで養った気持ちや感情なんじゃないかと思いました。
でも、その気持ちは、自分の言葉で表さなければいけません。自分の言葉を見つける必要がありました。
その中で気づいたのは、他の人も、違った状況で同じような気持ちになっているということです。誠実に、自分らしく、といった、ある程度の良い言葉までは、簡単にたどり着けます。でも、それをみんなが言った時に、何が差別化になるんだろう。そう考えた時に、それを表す自分の言葉や、自分のスタイルが必要なんだろうなと、うっすら気がつきました。
道場の講師で、私のパーソナルメンターでもあるブランドデザイナーの後藤さんが、実際にクライアントさんへ提案した提案書をもとに、コンセプトメイキングの進め方を見せていただきました。
実際の提案を見られることはなかなかないので、とても貴重な機会で、刺激になりました。
一方で、聞いているとプレゼンテーションを聞いているように「なるほど」と聞いてしまい、聞く側から抜け出して、そこで何が行われているのかをつかむのは結構難しかったです。
なんとなくわかった気になるのではなく、その提案がどう進んでいて、これまで学んだブランドデザインの要素がどんなふうに組み込まれているのかを、自分なりにまとめてみました。

こうしてまとめてみると、講座で学んできたことが、クライアントさんの状況に合わせた流れで、実際の提案の中に組み込まれていました。
コンセプトメイキングは、ブランドデザインの最初の部分。そう捉えられたことで、学んだことを実際のクライアントさんにどう使えばいいのかが、少しわかった気がします。
第四回で学んだコンセプトを、どうビジュアルにしていくのかを学んだ回でした。コンセプトが「言葉の設計書」なら、ムードボードは「ビジュアルの設計書」です。
言葉でそろえたつもりでも、絵にするとずれてしまう。同じ「高級感」でも、人によって思い浮かべるものはさまざまです。そのずれをなくすために、トーン&マナー・マテリアル・フォルムの3つに分けて、「AのようなB」と言葉で説明できる画像を選び、「こっちには行かない」というNGも一緒に示します。そして、言葉の設計書とビジュアルの設計書を組み合わせた1枚が、ブランドボードになります。
9月に自分のブランドボードを作った時、私はマテリアルでコンセプトを話そうとして、混乱しました。表現の段では、意味ではなく見た目で選ぶ。2つの設計書を分けて考える大切さを、実際に作ってみて実感しました。
これが、私のビジュアルの設計書です。




ここでは、ワークシートからブランドボード・名刺・ウェブサイトまで、ブランドを形にしていく全工程を見ながら、二つのことを学びました。
ひとつは、最終的に何の形で相手に届くのか(タッチポイント)を先に決めて、そこから逆算して作るということ。
もうひとつは、文脈を一つに絞ること。意味が二つある文章は、読む人の目線を止めてしまう。
私の場合、タッチポイントは、プラントベースなど食のウェルネスの領域でのデジタルな接点。そこで知ってくれた人が、インスタグラムやコミュニティを通して連絡をくれる。そう考えて、そこからブランドボードを作りました。
第七回目は中間発表、第八回目は最終発表でした。最終課題のブランドボードを中間発表で一度発表して、さらにブラッシュアップして、最終発表を迎えました。
中間発表のあと、後藤さんから、他の人のブランドと似ていると感じたなら、その違和感は重要で、その中でさらに自分ならではを探る必要がある、というメッセージがありました。
みんなの発表を聞いていて、大事にしていることの芯は、それほど違わないんだと感じました。だとすると、自分らしさは、言葉を変えるだけでは出せないんだと思いました。
じゃあ私らしさは何だろうと考えた時、デザインを学び始めてまだ間もない一方で、写真や画像に触れてきた時間が長いことが見えてきました。物語に合う写真のイメージが先に浮かぶこと。だから提案書にこだわりたいし、見たビジュアルや音楽で人とコミュニケーションすることが、私らしさなんだと気づきました。
だから、言葉は何も変えませんでした。みんなが使っているから使わない、というのは、外側を基準にした探し方です。そうではなく、自分の内側から探していく基準を持てばいいのだと思います。
いつもクライアントさんのことが先になって、自分のブランドのことは、後回しになってしまいます。ポートフォリオも、そのひとつです。
こんな機会がなければ、ここまで自分と向き合うことはできなかったと思います。
第三回で学んだ三つの目で、自分のブランドを見ていきました。
鳥の目:社会の中で、自分のブランドにどんな価値があるのか
Wellness、Connection、Respectという無形の価値から、ブランドをつくる力




魚の目:時代の流れの中で、このブランドがどこに立っているのか
便利さや成長を、終わりなく求め続けることに、人々が疑問を持ち始めた時代において、本当の豊かさを、すでにある暮らしの中に見いだそうとする動きを、敏感に察知する力




虫の目:一人の人の経験や、現場の手触りから、自分のブランドが持つ力は何か
自分を見失った原体験、人と向き合ってきた現場、暮らしの中の実践に裏打ちされた、そのままの良さを生かす力




その結果できたのが、このブランドボードです。



この道場で作った自分の物差しは、すぐに実際の仕事の判断でも使うことになりました。実績の数を増やすことよりも、一人ひとりのブランドに深く向き合うことを選べたのは、3CとSTPで、自分のブランドにとって何が大事なのかがはっきりしていたからです。何をやらず、何に力を注ぐのか。その取捨選択ができるようになりました。
このブランドボードの制作を通して、今の自分のスタイルを、ひとつの形にすることができたと感じています。
ただ、ブランディングに終わりはありません。時代とともに、自分の価値観も、世の中の価値観も変わっていく。ブランドデザインは、人生そのものなのだと思います。
だから軸も、一度決めたら変えないものではなく、ある期間はぶらさずに続け、節目ごとに見直していくもの。
見直し続ける作業に終わりはないので、疲れてしまうこともある。だからこそ、自分の心と体を、良い状態に保つことが大事なのだと考えています。
コンセプトが「言葉の設計書」、ムードボードが「ビジュアルの設計書」だとしたら、心と体を整える食事とウェルネスは、「自分の設計書」なのだと思います。
要約
コメント
まだコメントはありません。